フライング・ダッチマンの作品が1080円で一挙再発ということでどれどれと買ってみた、リチャード・グルーヴ・ホルムズ『オンサヤ・ジョイ』、1975年作品。世界初CD化とな。
- Sweet Georgia Brown
- Onsaya Joy
- Green Dolphin Street
- Song For My Father
- Misty
オルガン(+一部シンセ?)とギター、ドラムだけの小編成のライブ録音、リチャードの聞かせどころフットベースもぐりぐりと。この手の「コテコテ」オルガン・ジャズはほとんどフェティシズムの世界なので、誰にでも薦められるというわけではないけど、オルガンだけでなくギターもよし、ドラムスもよし。ギターはオリビエ・サンダース、ドラムはトーマス・ワシントンJr. というよく分からない人たちで、たしかにとくに上手かぁないんだが、リチャードのオルガンと一緒にしてぐつぐつ煮込んだものを聞くと、結果最高。
(1)なんぞ、7分間があっという間だ。1975年といえばフュージョン全盛の時代で、それこそフライング・ダッチマンではロニー・リストン・スミスがコスミックで浮遊感のあるキーボードを弾いていた頃のはずだが、リチャードが弾くはあくまで直球のオルガン・ジャズ。かといって、やっぱりどこか1960年代の音楽とはちがっているのは、(2)でチュミミミミミンという妙なシンセ(?)を挟んでいるからではなくて、全体の空気感。このあたり、ジミー・スミスにおける『ルート・ダウン』(1972年)の位置だといえばいいだろうか。ジャケット写真はおもいっきり、ロサンゼルス時代のブルー・ノート風味で、ほぼパクリに近いがそれもまた味。いや、そもそもフライング・ダッチマンのレーベル・マーク自体がかっこいいのだし、タイポグラフィーもいいねと付け加えておかねばなるまい。
サービスの一環か、最後にはリチャードの代表曲(5)「ミスティ」をクール・ダウン的に演って、40分ほどのアルバムを締める。コテコテ・ジャズに名盤なんて気どったことばはいまいち似合わないが、名盤ですよ。フェチ的に。