ふつうの人はCDなんてもう買わなくなった

How unfashionable to buy music CDs nowaday

Frankie Valli and Four Seasons / Genuine Imitation Life Gazette

フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズ、オリジナル・アルバム18枚組ボックスセット、The Classic Albums Box の14枚目、1969年発表。

1 American Crucifixion Resurrection
★ 2    Mrs. Stately's Garden
3    Look Up Look Over
4    Somebody's On Her Mind
5    Saturday's Father
★6    Wall Street Village Day
7    Genuine Imitation Life
8    Idaho
9   Wonder What You'll Be
10   Soul Of A Woman

 

思わず、おお、来たぞ!とつぶやいてしまう、この時代ならではの、サイケなコンセプト・アルバムが来た。ぜったい「この盤は、フォー・シーズンズのサージェント・ペパーズだ」と言われてきたはずだ。まちがいない。ジャケットは新聞の紙面を模していて、このアルバムのコンセプトを表現している。もともとは十数ページにわたる「紙面」が付いていたらしく、さすがにそれは再現されてはいないが、このアルバムとHalf and Haldだけは見開きの紙ジャケットにしてくれているのは、Rhinoらしい心配り。

ある曲を他の曲で喩えるのはあまり良くないことと知りつつ、(6)は、ザ・サークルの「Turn Down Day」を彷彿とさせるポップな佳曲。ウォール・ストリートを主題にした社会派の曲でもあるのだけどね。(7)のエンディングでは、「Hey Jude」 のメロディが挟まれて、ビートルズを意識しまくっていることが分かる。

どのトラックも作りこまれていて聴き応えあり。一方で、イギリス勢の屈折した皮肉もなければ、ビーチ・ボーイズの陰鬱な内省もないのが、むしろ彼らの良さなんで、ボブ・ゴーディオの曲作りの才能は分かるけど、コンセプト・アルバムは単純に彼らのスタイルではないのでは。先に触れた(6)とか、キンクスだったら、ポップさと社会派テイストの混ぜ合わせて、もっとしっくりきただろう。そんなことを考えていると、皮肉も内省もほとんど完璧に自制した種類のコンセプト・アルバムの究極は、ハーパース・ビザールなんじゃないかと思ったり。『Secret Life』までの三枚は、1967年から1968年の発表なんだね。そういえば、彼らのバンド名も、雑誌のパロディではないか。

といったわけで、逆にこのフォー・シーズンズのアルバムは、彼らの野心あふれる実験として、大いに楽しむべき。