ビリー・ポール、PIRからの2枚目にあたる1972年のアルバム。
激安CD20枚セット、フィラデルフィア・インターナショナル・レコーズ「ザ・コレクション」では第三弾。
- "Brown Baby"
- "I'm Just a Prisoner"
- "It's Too Late"
- "Me and Mrs. Jones"
- "Am I Black Enough for You?"
- "Let's Stay Together"
- "Your Song"
- "I'm Gonna Make It This Time"
- [CD Bonus] "Me and Mrs. Jones"(Live)
1曲目も2曲目も、360度を表現したいのかしらんが、左右のチャンネルでゆらゆら動く演出が気持ち悪。3曲目 "It's Too Late" のカヴァーは、なかなかオリジナリティが溢れている。
そして不倫ソングにして、ビルボード全米一位の大ヒット曲、"Me and Mrs. Jones"。ロマンティック・サイドのギャンブル&ハフやね。ソウルというかAOR。
6曲目はもちろん、アル・グリーンのカヴァー。AOR感が強め。7曲目はエルトン・ジョン、フィリー・ソウルなドラムが印象的。
まとめると、口当たりの良いAORだな、ただ僕の趣味ではない・・・・・・と締めようとおもったが、異常に長いビリー・ポールのウィキペディアを斜め読みして、このアルバムの中にもいろいろなエピソードがあることを知る。そもそも彼の本名はポール・ウィリアムスというらしいが、もうひとりのポール・ウィリアムスと混同されるので、ビリー・ポールと名のったという。
大ヒットになった "Me and Mrs. Jones"の直後に、シングルとして"Am I Black Enough for You?" を発表したが、あまりに政治的すぎるというので物議を醸したという。1977年のインタビューでは、ポールはこの曲のリリースを「人生最大の失敗」といい、もっと売れ筋の曲を出していれば「マイケル・ジャクソンなみになれたはずだ」と述べている。もっとも、1977年時点のMJだけどね。ポールはこのあと、1975年の曲"When Love is New" でも論争になっている。
またポールは、2000年になって、ナイキがマリオン・ジョーンズをフューチャーしたキャンペーンに無許可で "Me and Mrs. Jones" を使ったとして訴訟を起こし、ついでPIRもロイヤリティの不払いで訴えている。どうもこれはナイキやPIRが良くなかったらしいが、もちろん詳しくは分からない。2009年には伝記映画も作られているとか。
ポールのウィキペディアは前半生の部分もおもしろくて、16歳のときに、フィラデルフィアのクラブ・ハーレムで、晩年のチャーリー・パーカーと同じプログラムに出演したとか。1957年に従軍したときには、エルヴィス・プレスリーとドイツに行ったと。ほー、エディ・ハリスもそこにいたのか。ポールはもともとけっこうジャズよりの人なんだね。あと、マーヴィ・ゲイとは長い親交があったとかね。