ふつうの人はCDなんてもう買わなくなった

How unfashionable to buy music CDs nowaday

Sonny Stitt / Live at the Left Bank: Just The Way It Was

レコスケくんで、「ギリ、ジャズ!」認定を受けていたのはソニー・スティットではなかったか? 1971年録音、2000年リリースというこのライブ盤は、オルガンにドン・パターソン、ドラムにビリー・ジェイムズというミニマムな(僕にとっては)最高の編成で、「ギリ、ジャズ!」かどうかはわからんが、オルガン・ジャズと括れば雰囲気もイメージしやすかろう。ソニーが吹いているのはエレクトリック・サックスで、オルガンとの相性もいい。

1. Deuces Wild
★2. Samba de Orpheus
3. Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me)
4. Cry Me a River
★5. John Brown's Body
6. The Shadow of Your Smile
7. Blues Up and Down

 

冒頭(1)からご機嫌だが、(2)「オルフェのサンバ」でのビリーのドラムは、ミルトン・バナナに負けていない。そこはかとない脳天気感。ソニーのサックスが聞きたいなら(4)あたりがよいのかな(途中録音が乱れている箇所がある?)。

(5)は、「ごんべさんの赤ちゃんがかぜひいた」の曲であり、ヨドバシカメラのあの曲だが、ご存じの方はご存じのとおり、この曲は奴隷解放をめざして南北戦争で命を落としたジョン・ブラウンの死をうたった行進曲で、のちに歌詞を替えて「リパブリック賛歌」となった曲。背景にある歴史は重いが、このライブでは軽快に、ファンキーに。一瞬だけマーチ風のドラムソロが入る。

(6)「いそしぎ」のテーマを演っても、まったりしすぎないのが良き。「ギリ、ジャズ!」ぐらいが良い、というか、この盤は、正統ジャズファン言うところの「ギリ、ジャズ!」から、ソウル側に一歩か二歩か外れてしまっていて、コテコテ界隈の我々には、こういった具合こそが一番良いのだ。

いかにもラスト一曲感のある(7)も楽しい。ドン・パターソンの、ノリノリかつ、たいへんに適当なフット・ベースよ。

逆に、ギトギトのコッテコテを期待するとそこまででもないかもしれないが、なんとも気の置けない一枚だ。