PIRの屋台骨、MFSBが1973年に発表したアルバム。彼ら名義としては2枚目。CD20枚セット、フィラデルフィア・インターナショナル・レコーズ「ザ・コレクション」では7枚目。
ヘルメットを被った頭蓋骨、原爆のキノコ雲、ナチスの鉤十字と、ジャケットは強烈に反戦のメッセージを押し出す。
- Zack's Fanfare
- Love Is The Message
- Cheaper To Keep Her
- My One And Only Love
- TSOP (The Sound Of Philadelphia) (Theme From The Television Show "Soul Train")
- Zack's Fanfare
- Touch Me In The Morning★
- Bitter Sweet
冒頭の2曲目も良いが、3曲目はよりジャズ風でもあり、ジャズ・ロックの佳曲として楽しめる。
5曲目は言わずと知れた、ソウル・トレインのテーマ。やはりこの曲でなければいけなかったろうと思わせられる。コーラスに、スリー・ディグリーズというのもつきづきし。改めて、こんなジャケットのアルバムにソウル・トレインのテーマが入るという、こちらはむしろアンバランスだが、いろいろ考えてしまう。
7曲目はダイアナ・ロスのカバー。名曲をドラマティックに演出。MFSBはメンバーの数が多くて流動的で、どうしても個々のメンバーが埋もれがちだが、たとえば、やっぱりこのトラックもアール・ヤングが叩いているのかな?凄腕ぞろいよ。8曲目はベースが主役。アンソニー・ジャクソンだろうか、ロン・ベイカーだろうか。
全体で35分の濃さ。捨て曲なしの名アルバムなのだが、どの曲も徐々に徐々に盛り上げていくところが、つまり聞き手がじっくり聞くことを前提しているところが、今風でもDJプレイ的でもないわけ。それは3分シングルが中心の時代のソウルともちがっていて、一番簡単にいえば1970年代のかんじ。PIRの、今となっては意外な特徴だと思った。